「研究職は潰しが効かない」という言葉を聞いたことがある方は多いはずです。コンサル歴数年・双子育児中の筆者も、メーカーの研究職時代に同じ不安を抱えていました。実際に未経験でコンサルへ転職してみて感じたのは、「潰しが効かない」という表現は半分正しく、半分は的外れだったということです。この記事では、転職前に感じていた不安と、転職後に見えた本当の課題を整理します。
転職前に感じていた「潰しが効かない」という不安
研究職時代、「潰しが効かない」と感じていた理由は大きく2つありました。
1つ目は、研究テーマの専門性の高さです。研究職は基本的に、特定の研究テーマ・分野に絞って深く取り組む仕事です。その分野では専門性を発揮できますが、裏を返せば、その専門性は他の分野では汎用的に使いにくいという側面があります。「この専門性が通用するのは、今の会社・今の分野だけではないか」という不安は、当時かなり大きなものでした。
2つ目は、大企業特有の「歯車感」です。大きな組織の中で、自分の仕事が全体のごく一部にしか関わっていないと感じる場面が多くありました。もっと高い視座で物事を考えられるようになりたい、という思いが強まり、その選択肢としてコンサルを意識するようになりました。
コンサルに転職して気づいたこと:本当の課題は「専門性」ではなく「ソフトスキル」
実際にコンサルへ転職してみて感じたのは、「潰しが効かない」という言葉が指していた問題の正体は、専門性そのものではなかった、ということです。
転職直後、最初のプロジェクトでExcelを使ったデータ整理を任されたときのことです。「どんな軸で、どんなアウトプットを作ればいいか」という指示を受けたものの、何をすればいいのか全く分かりませんでした。上司から「今の指示で何か実行できそう?」と聞かれた際、何も答えられなかったことを今でも覚えています。
このとき、「自分は何もできないんだ」と痛感しました。今であれば、どんなアウトプットを作ればいいかを瞬時にある程度判断できますが、転職してすぐの当時は、そうした判断軸そのものを持っていなかったのです。これが、コンサルに転職して最初にぶつかった壁でした。
この壁をどう乗り越えたかというと、「自分で考える前に、こまめに確認する」ことを徹底しました。自分で考えることも重要だとは思いつつ、そもそも考え方の軸自体が分からない状態だったため、まずは聞くことを優先しました。当時は出社が多かったこともあり、出社するたびに「こういうイメージで合っていますか」と上司に細かく確認するようにしていました。
二度手間を避けるためにも、早い段階で方向性をすり合わせる。この「こまめに確認する」という動き方自体も、振り返れば1つのソフトスキルだったと感じています。
つまり、「研究職は専門性が狭いから潰しが効かない」というよりは、「専門性以外の汎用的なスキル——指示の意図を汲み取り、アウトプットの形を判断する力、こまめに確認しながら進める力——を意識的に鍛える機会が少ない」ことが、本当の課題だったと感じています。
ソフトスキルはコンサルで獲得できた
この点については、コンサルへの転職は良い選択だったと感じています。論理的に話を組み立てる力や、結論から端的に伝える力といったソフトスキルは、コンサルでの実動を通じて獲得することができました。
専門性そのものよりも、こうした汎用的なビジネススキルを身につけられたことが、転職して得られた最も大きな変化だったと思います。
「潰しが効くかどうか」は、キャリアプラン次第
最後に、これから研究職やJTC(日本の伝統的な大企業)でキャリアを積もうとしている方に向けて、1つの整理をしておきます。
ずっと同じ企業で専門性を深め、その中で出世していくキャリアプランであれば、「潰しが効かない」ことは特に問題になりません。専門性を深めること自体が、その会社の中での価値になるからです。
一方で、今の時代は「転職ありき」でキャリアプランを考える人も増えています。転職を視野に入れるのであれば、専門性だけでなく、論理的に話す力や端的に伝える力といった汎用的なソフトスキルを、早い段階から意識的に鍛えておくことをおすすめします。
まとめ
「研究職は潰しが効かない」という不安は、研究テーマの専門性の狭さと、大企業での歯車感から生まれていました。しかし実際にコンサルへ転職して感じたのは、本当の課題は専門性そのものではなく、論理的に話す力や端的に伝える力といった汎用的なソフトスキルが不足していたことでした。
同じ企業でキャリアを積むなら専門性を深めることに集中して問題ありませんが、転職を視野に入れるなら、専門性に加えてソフトスキルを意識的に鍛えておくことが、結果的に「潰しが効く」状態につながると感じています。


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