メーカーからコンサルへの転職を考えている方の中には、「カルチャーや働き方にどんなギャップがあるのか」を知りたい方も多いはずです。コンサル歴数年・双子育児中の筆者が、メーカーの研究職からコンサルへ転職して最も驚いたのは、ExcelやPowerPointといったアウトプットそのものに求められる水準の違いでした。
研究職にとってExcel・PowerPointは「モノありき」の付随物
研究職の仕事は、基本的に「モノづくり」が中心です。実験を行い、データを取得し、その結果を考察する。ExcelやPowerPointは、そうした研究活動の結果を整理し、情報を付与するための位置づけにすぎませんでした。
つまり、ExcelやPowerPointそのものが成果物ではなく、あくまで「モノ」(研究成果・実験結果)が主役で、資料はその記録・説明のための手段という位置づけです。
コンサルでは、アウトプットそのものが成果物になる
コンサルに転職して気づいたのは、ExcelやPowerPointといったアウトプットそのものが、仕事の中心的な成果物になるということでした。
業務の多くは、調査・分析した内容をExcelで整理し、PowerPointにまとめ上げることが中心になります。研究職時代のように「モノありき」で資料が付随するのではなく、資料そのものが、クライアントに価値を提供するための直接的なプロダクトになるのです。
レビューの観点が全く違う:「中身」だけでなく「見た目」「構成」も問われる
この立場の違いは、上司からのレビューの観点にも如実に表れていました。
研究職時代、Excelの表について「ここをこうした方がいい」というコメントを受けたことは、一度もありませんでした。PowerPoint資料のレビューは受けたことがありましたが、その内容は「この部分はこういう内容にした方がいい」という、中身(コンテンツ)に関するものがほとんどでした。オブジェクトが揃っていない、といった見た目に関する指摘を受けたことは、全くありませんでした。
一方、コンサルに来てからは、資料の見た目——オブジェクトが揃っているか、整列しているか——や、ストーリーラインの組み立て方そのものが、レビューの対象になることに驚きました。中身の正しさだけでなく、「どう見えるか」「どういう順番で、どう伝わるか」という構成・体裁のレベルまで、高い水準が求められるのです。
研究職時代から、資料の見やすさが大事だという認識自体はありました。しかし、それが実際にレビューの対象として、こだわって扱われる文化なのだということは、コンサルに来てから初めて実感しました。
もう1つのギャップ:抽象的な指示にも表れる「アウトプット文化」
このアウトプットの水準に対する驚きは、実は別の記事(コンサル転職で気づいた本当の課題)で触れた「指示の抽象度」のギャップとも、根底でつながっていると感じています。
転職直後、上司から「どんな軸で、どんなアウトプットを作ればいいか」という指示を受けた際、何をすればいいか全く分からなかったエピソードを以前紹介しました。当時はこれを「指示が抽象的だった」という側面でとらえていましたが、振り返ってみると、この背景には「アウトプットそのものが成果物である」というコンサルの文化が前提として存在していたのだと思います。
研究職時代は、「モノ」が主役で資料が付随物だったため、上司から「アウトプットの軸」を最初から問われる場面自体がほとんどありませんでした。一方コンサルでは、アウトプット(資料)そのものが成果物であることが当然の前提となっているため、「どんなアウトプットを作るか」という問いが、仕事の出発点として真っ先に出てくるのです。
つまり、「指示が抽象的で何をすればいいか分からなかった」という困惑も、「アウトプットそのものに高い水準が求められ、見た目・構成まで評価される」という驚きも、根っこは同じ「アウトプット中心の文化」というギャップから来ていたのだと、今振り返って感じています。
このギャップにどう対応したか
このギャップに気づいてからは、「中身が正しければよい」という意識から、「中身に加えて、見た目・構成も含めて1つのアウトプットである」という意識に切り替えるようにしました。
具体的には、オブジェクトの整列やフォント・色使いといった体裁面のチェックを、内容のチェックと同じくらい重視するようにしました。また、スライド全体のストーリーライン——どの順番で情報を見せれば、相手が最も理解しやすいか——を意識して構成を組み立てることも、研究職時代にはほとんど考えたことのなかった視点でした。
まとめ
メーカーの研究職からコンサルへ転職して最も驚いたギャップは、ExcelやPowerPointといったアウトプットに求められる水準の違いでした。研究職ではアウトプットは「モノありき」の付随物で、レビューも中身が中心でしたが、コンサルではアウトプットそのものが成果物であり、見た目やストーリーラインの組み立てまで高い水準でレビューされます。
これからコンサルへの転職を考えている方は、「中身が正しければよい」という意識から、「中身・見た目・構成のすべてを含めて1つのアウトプットである」という意識へ切り替える準備をしておくと、転職後のギャップに対応しやすくなるはずです。また、「指示が抽象的に感じる」こと自体も、この「アウトプット中心の文化」が前提にあると理解しておくと、戸惑いを減らせるかもしれません。


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